『メモの魔力』を読んだ感想
ようやく前田裕二さんの『メモの魔力』を読み終わりました。
昨年末のアナザースカイで初めてちゃんとTVで見たんですが、非常に気持ちのいい人物でした。嫌味がなく手放しで人たらしな印象を受けます。
前田裕二が「野心の源」と語るNYでの経験とは? 当時のノートを公開・顧客も証言|アナザースカイⅡ|日本テレビ
重要なポイントでいうとこんな感じですね。
- メモの目的は記録ではなく知的生産
- メモはファクト⇒抽象化⇒転用というフレームワークに沿って書く
- 抽象化には「What 型」「How 型」「Why 型」の3つがある
- 「What 型」は目の前の現象を抽象化して、別の名前をつけて呼びなおすこと(例:=人生って何に例えられるのか?)
- 「How 型」は目の前の現象の特徴を掘り下げること(例:ポケモンで効率的に勝つにはどうすれば良いか?)
- 「Why 型」は目の前の現象の要因を掘り下げるこ(例:ヒット映画や社内の問題の要因は何か?)
- ファクトを抽象化する前に、転用して解くべき課題を整理しておく
- メモの本質はノウハウではなく姿勢。情報の記録はあくまで外部(メモ)に記録しておいて、そこから自分の頭で創造行為を行うことが重要
全体を通してファクト⇒抽象化⇒転用というフレームワークへの理解促進と、今を時めくIT社長である前田裕二という人物について多くの情報を提供してくれる良い本でした。
ただあくまで著者の圧倒的な行動量があっての成果だと思うので、実際にはこの本を読んでメモを継続できる人はほとんどいない気が…。
*もちろんフレームワークとしては非常にわかりやすく有効だと思います
前田さんは新卒で就活をした際も、自己分析本をかたっぱしから買って約1,000問の質問に答えられるよう準備したそうです。(当時好きな色に関する質問1つとっても、色をと理由を3色分答えてられるくらいには準備していたらしい)
ファクト⇒抽象化⇒転用という重要な考え方をおさらいしたい時、前田さんのストイックな人生に触れてやる気を取り戻したい時にもう一度手に取りたい一冊でした。
『苦しかったときの話をしようか』の感想
本日はUSJの再建で有名な森岡さんの著書である『苦しかったときの話をしようか』の感想を書いてみた。
大学生活も後半に入り就職活動が近づいてきたお子さんに対して、キャリア感や面接への向かい方、やがて訪れるであろう仕事での苦しい場面などへの自身の考え=パースペクティブが綴られている。
つい話に熱が入りがちな森岡さんが、「文章ならば!」としたためていたものだったが、たまたま編集者が読んだところあまりにも内容が良かったので、すべてのキャリアに悩む人に届けるべきだということで出版に至ったそうだ。
就活生から転職を考えていたり、今まさに困難にぶつかっているようなすべての人たちに向けられた書籍ではないか。
その中でいくつか記憶に残ったポイントを紹介したい。
苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」
- 作者: 森岡毅
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2019/04/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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自分の強みをT・C・Lで理解する
森岡さんいわく仕事において自分の強みは大きく3つに分けられる。
- Thinking:考える力・戦略性
- Communication:伝える力・人と繋がる力
- Leadership:変化を起こす力・人を動かす力
ポイントはこのT・C・Lの3つの中で、相対的に自分がどのポイントにおいて秀でているかを自覚することだ。
自分自身を振り返るとやはり1.Thinkingだろう。知らない人と話すの得意じゃないし、輪の中心でリーダーになりたいと思わないし。やはり相対的に比べてみるのであれば、自分はT型だと思う。
ちなみにこのT型は向いている職業はマーケティングや企画職、コンサルタントということで、確かに今の自分の職種とは合っている。
ただしこのT型は自分が仕事で考える対象を、興味を持てる領域を選ぶことが重要だとも言っている。確かに興味の無い分野に思考力を注ぎ続けることは苦痛だ。僕も最近転職してコンサルになって、言われた仕事をこなすことで精一杯になっていたが、改めて何の領域にチャレンジしたかったのかを思い出した。
自分をマーケティングする
強みをもとに自分をマーケティングするという観点も重要だ。
なぜなら自分自身の「My Brand」を作ることで以下のメリットが生じる。
- 仕事や面接で話す時に緊張から開放される
- 自分のキャリア戦略における指針ができる
- 作った自分のブランドの設計図に中身が追いつくと市場価値が高まる
ブランド設計図は以下を設定すると完成となる。
攻略する市場
WHO(戦略ターゲット・コアターゲット)
WHAT(ベネフィット・RTB)
HOW(ベネフィットを提供する手段・ブランドキャラクター)
また作ったブランドは以下の観点からチェックを行う必要がある。
valuable:面接を受ける受ける・所属する企業にとって価値があるか?
believable:信じられる根拠(RTB)は十分か?RTBは十分か?
distinctive:他の候補者と比べて埋もれないか?
cogruent:自分の本質と一致しているか?
新しい環境では自分が最後尾だと思う
これは森岡さんが社会人デビューしてP&Gに入社した時の話。これまでの環境では優秀だった自分が新卒で働き始めた時に価値を出せず、電話が取れなくなるくらいに追い詰められていたそうだ。
特にいわゆる高学歴に人に多いと思うが、ここで潰れないためにも大事なことがある。それは最初から肩の力を抜いて、最後尾からスタートする自分を予めイメージして受け入れておくことではないか。
その上で本当の努力をどれだけ積み重ねられるか。理想の現実の自分のギャップは、貪欲に学ぶ姿勢と数年に満たない時間がきっと埋めてくれるのではないか。
自分自身も未経験職種としてコンサル転職したばかりですが、正直全くバリューが出せていません。資料作成の精度や速さ、3年も働いていてこんな事もできない、気づかないのかと情けなくなる日が最近多い。
ですがこの本を読んでいて、そもそも自分のプライドが高いことを改めて実感しました。「指摘されたことは一つ一つ受け止め、知らないことは学んでいかなければ」と改めて思う。
行動を変えたい時のコツ
最後に行動を変えたい時のコツです。明日から変わるぞ!これをするぞ!なんて思っても、実際には布団から出れなかったり、まあ今日の分はあしたやろうとか、できない理由を探すのが人の常だ。
僕もアナザースカイの前田裕二さん出演回を見て、同じように5時半出社、1時帰宅の生活にチャレンジしてみようと思いましたが。あくる日の土曜に起きたのは8時半でした。ダメダメやん。
森岡さんはその理由は変わろうとする自分の意識と、その行動を神経回路が覚えるまでのタイムラグに耐えられない。つまり習慣化は単なる意識だけの問題ではなく、物理的な問題だからです。その間に変われない自分に嫌になり、結局何かを続けることを諦めてしまうのです。
だから最初からすぐに変われない自分を受け入れる。まずは5回に1回くらいできれば、自分を褒めてあげる。するといつの間にか2回、3回と目的の行動を取れる確率が上がっっていき、数ヶ月するとそれは習慣に変わっているはず。
もちろんこの変化を周囲や上司が待ってくれることは稀かもしれない。でも本当に変えたいことがあるなら、この人間の神経という機能との孤独な戦いを耐え忍ぶしかないのである。
おわりに
本来は就活生に向けられて書かれた本だが、転職を考えている人や転職したばかりの人にも大きな発見がある本だと思う。
新しい環境に慣れることに必死になる自分もいるだろうが、一息つきながら自分のキャリアや今会社で築くべきブランド、うまく行かない時の心構えなどを考えておいてもいいのではないか。
インタビューなどでは刀のように鋭い森岡さんだが、その仕事人としての核にある真摯さや優しさを感じる1冊ではないか。
『カスタマーサクセス』を読んだ感想
カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則
- 作者: ニック・メータ,ダン・スタインマン,リンカーン・マーフィー,バーチャレクス・コンサルティング
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/06/06
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
カスタマーサクセスに関する要点
- SaaSとサブスクリプションの普及により、カスタマーサクセスの重要性が高まっている
- カスタマーサクセスとはロイヤルティの創出を指す(特に心理ロイヤルティ)
- 多くの商品がコモディティ化しており、行動ロイヤルティでの差別化は難しい
- カスタマーサクセスの目的は①解約率の低下、②既存顧客の売上増加、③顧客満足度の向上
- 顧客満足度を高めることで心理ロイヤルティを高める必要がある
- カスタマーサクセスは組織であり、原理原則であり、思想である
- カスタマーサポートと比べて、カスタマーサクセスは「能動的」「成功重視」「分析中心」「予測的」である
- カスタマーサクセスはソフトウェアや雑誌に限らず、あらゆるビジネスに応用可能
- カスタマーサクセスはハイタッチ、ロータッチ、テックタッチに分けて提供する
- ハイタッチは価値が高いものの、数が少ない顧客群が対象。内容に応じて定期、不定期の業務を行う
- ロータッチは価値も数も中間の顧客群が対象。テクノロジーを活用しつつ、ハイタッチ顧客への対応よりも基準を下げて、定期の業務を行う
- テックタッチは価値は低いものの、数が多い顧客群が対象。テクノロジー手動で顧客との接点を持つ(メールやコミュニティ、サービスなど)
カスタマーサクセス10の原則
- 正しい顧客に販売する(商品が必要ない顧客に販売すると時間や人の無駄が生まれる)
- 顧客とベンダーは何もしなければ離れる
- 顧客が期待しているのは大成功(商品ではなく、成功体験が欲しい)
- 絶えずカスタマーヘルスを把握・管理する
- ロイヤルティの構築に個人間の関係は必要ない(ロータッチ、テックタッチのアプローチでもロイヤリティ獲得可能)
- 本当に拡張可能な差別化要因は製品のみ(顧客からのFBで常に製品を改善して、行動ロイヤルティを高めに行く)
- タイム・トゥ・バリューの向上に取り組む(解約を防ぐために、顧客の成功体験までの期間を短くする)
- 顧客の指標を深く理解する
- ハードデータの指標でカスタマーサクセスを進める
- トップダウンかつ全社レベルで取り組む
感想
今話題のカスタマーサクセスがわかりやすく解説されており、勉強になります。特に前職でB2Bのサービス(広告やリサーチツール)を販売していたので、非常に考えやすかったです。
特に広告については外資に単純な機能差では負けがちなので、こういった要素を気にかけながら顧客からの心理ロイヤルティを高めていかないといけないなと改めて実感しました。
またあらゆるビジネスでカスタマーサクセスが応用可能という点も興味深いです。言われてみればスタバとか、まさに心理ロイヤルティですよね。
転職先のコンサルではハイタッチがすべてだと思いますが、ロータッチやテックタッチで顧客を獲得することができるのでしょうか。考える余地があるかもしれないですね。
是非ご一読下さい。
『BCGデジタル経営改革』を読んだ感想
BCGのデジタル経営改革を読みました。
来月から転職で会社は違いますが似たような仕事をすることになると思うので、改めて体系的にデジタルトランスフォーメーションの理解を進めようと読みました。
以下まとめです。
BCGのプロジェクト分類
BCGの事業分類です。BCGでは事業と活用アセットの新規or既存という、2×2の4軸でプロジェクト分類を行っているそうです。
BCGはこうした分類の中で様々な企業に対してデジタルトランスフォーメーションを行っているのですが、大きく分けると既存事業のデジタル化、デジタルによる新規事業創出に分けられるようです。
1.既存資産活用×コア事業
コア事業の改善(ECサイト改善など)
2.新たな成長ドライバー×コア事業
コア領域における別の切り口での事業構築
3.既存資産活用×新規事業
既存アセットを用いた新規事業
4.新たな成長ドライバー×新規事業
新たな成長基軸となる新規事業(スタートアップの領域)
既存事業のデジタル化
既存事業のデジタル化においては第一に顧客体験起点での、カスタマージャーニーの整理が重要となります。
顧客の行動を整理することで各プロセスに対して、どんな打ち手が考えられるかを想像します。
ここで大事なのはどこからどこまでを顧客体験と捉えるかです。
例えばサッカーの試合観戦を例に上げると、試合時間だけをジャーニーと捉えるか、チケット購入から帰宅するまでをジャーニーと捉えるかで多くのチャンスが生まれるます。
様々な顧客接点でロイヤリティ向上や獲得やクロスセル、解約防止やリテンションなど多くの打ち手が考えられるようになります。
そのためには営業やマーケが部署にとらわれずに連携して施策を実施する、「デジタルGo-To-Market」という考え方が重要になります。データをもとに顧客接点において各職種が何をすべきかを検討・実行することが重要になります。
またインターネットに繋がれたデバイスとAIで、ハイパーパーソナライズされた顧客体験を提供することも可能です。広告に限らず営業やプロダクトなど様々点において、顧客に最適な価値を提供することが可能です。
更に既存事業のデジタル化ではウェブテクノロジーへの理解が必要です。なぜなら良質な顧客体験はウェブテクノロジーによって生まれるからです。
アマゾンを想像するとサイトの見やすさや購入~配送完了まで、一連の心地よい体験を支えているのはテクノロジーであると理解できると思います。
業務プロセスにおけるRPAについてですが、その本質は部分最適ではなく、カスタマージャーニーに基づいた全体最適の業務プロセス変革にあります。ジャーニーを各部署共通の目標として目標を決めながら、少しずつRPAを導入していくことが有効です。
デジタルによる新規事業創出
デジタルを活用した新規事業は、既存アセットを活用した事業が中心となります。
(新たな成長ドライバー×新規事業はスタートアップの領域になります)
スピード感としてはコンセプト3ヶ月、開発×改善に9ヶ月で計1年以内のローンチが理想です。なぜならデジタルの世界は先行者利益が重要になるからです。ゼクシィやラインのサービスは作れても、今から追いつくことは容易でないですよね。
アイデア出しについては以下の3つの要素を考慮しながら行います。
- マクロ環境変化:技術革新や市場トレンド変化、規制緩和
- ペインポイント:既存サービスへの顕在化した不満
- 潜在ニーズ:ユーザーが気づいていない感情面でのニーズ/欲求
上記をもとに出したアイデアは投資委員会で、20~30案→5~10案→2~3案の規模でコンセプトを絞り混んでいき、実際にローンチが決まればアジャイル方式で開発を進めます。
アジャイルとは当初から完成形を目指すのではなく、最も優先度が高いニーズ(1つとは限らない)を満たした上で商品化するという手法です。
実際にローンチして顧客のFBをもとに、新商品発売orアップデートを行うことを繰り返しながら、顧客により良い体験を提供できる商品やサービスを生み出します。このアジャイルという手法はR&D、デザイン、プロモーション、人事評価など開発以外でも取り入れることが可能です。
ただし注意したいことは、アジャイルは素早く創るという方法論ではなく、顧客と対話しながらチームで協業し成果を作るという「思想」になります。
これを社内で共有で共通認識として合意しておかないと、外部委託や社内規定などにより変化を認めるプロジェクトの進め方ができなくなります。またそもそも建築や法規制と関連するようなミスが許されないプロダクトは、そもそもアジャイルが適していない可能性もあります。
なので100社あれば100社のアジャイルが存在しており、必ずしも事業全体のサイクルを上げる必要はないのです。
感想
さすがBCGというところで、デジタルトランスフォーメーションという概念がきれいに整理されていました。ただし事例自体は多くないので自分の知っている商品やプロダクト、自分の職場での仕事を当てはめながら読むといいと思います。
そうすることで非常にふわっとした、デジタルトランスフォーメーションというトレンドへの理解が深まると思います!
『サブスクリプション』を読んだ感想 / すべてがサブスクになる
「すべてがサブスクになる」
IT企業でサブスクサービスを考えたり、転職先のコンサルでもサブスクモデル導入支援みたいな案件がありそうだったりと、最近サブスクと縁がありました。
そこで改めて「サブスクってなんだっけ」ということで、いくつか本を探してみて選んだのが『サブスクリプション』でした。
サブスクリプション 製品から顧客中心のビジネスモデルヘ (角川新書)
- 作者: 雨宮寛二
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2019/07/10
- メディア: Kindle版
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『サブスクリプション』の概要
古くは新聞の定期購読に始まるサブスクが、デジタル化した現代でどう進化を遂げてきたのかを有名なサービスの事例を交えながらわかりやすく解説しています。
少子化や格差の拡大、AIの普及という背景を踏まえると、今後の日本は消費から所有へと意識が変化していくと考えられます。
そんな中でサブスクにはデジタルサービスとしてコンテンツやBtoBを提供するだけでなく、ユーザーに毎月最適なモノを届けるというサブスクボックスという形態も見られ始めました。
モノからコトへという言葉は昔からありましたが、平成が終わりモノを売る時代の終わりの始まりに突入した今、改めて企業がユーザーに提供できる体験とは何かを見つめ直す時期が来ていると思いました。
『サブスクリプション』のいいところ
日本だけでなく海外も含めて、めちゃくちゃサブスクモデルの事例が多いです。
有名なNetflixやプライム・ビデオに始まり、様々な業界のビジネスモデルが掲載されており勉強になります。
ざっと目を通すだけで、サブスク事業の全体感は理解できるのではないでしょうか。
『サブスクリプション』の感想
全体を通して成功しているサブスクモデルは、顧客との関係性を築くための取り組みを重視している印象を受けました。
良い製品やサービスを適切なタイミングで提供し、 様々な接点で顧客により良い体験を提供する。その手段としてサブスクモデルが最適であれば採用しているのではないでしょうか。
実際にIT企業でサブスクモデルのサービスを作ったこともありますが、価格や機能ももちろん重要ですが、顧客体験向上のために他に突き詰めるべき点がないかも考えればよかったと少し後悔しました。
面白かったサブスクサービス
メルスプラン:コンタクト
- 会員制・月額制の視力保証サービス
- 月額1,800円~で会員数約130万人
- メニコンが卸としてサブスク販売することで、加盟店の価格競争からサービスの質への競争に転換
- 月2,000円で激安1DAYコンタクトを使ってるので、もう少し収入が増えるか、1DAY価格が下がれば使いたい
ラクサス:高級バッグ
- シャネルやエルメスなど高級バッグの貸し出しサービス
- 月額6,800円~
- 貸し出しバッグを自社買付だけでなく、会員の不要なバッグを預かって提供することで流通バッグ数を最大化
- 継続購入促進のためにチャットを用いたコーディネートや、位置情報を用いたレコメンドサービスも提供
- ビジネスマン向けのラインとして、ネクタイやバッグ貸し出しがあれば使いたい
ダラーシェーブクラブ:カミソリ
・マーケティングやクリエイティブの内製化により低価格高品質のカミソリを提供
・月額4ドル~で2枚歯カートリッジが5個配送
・常に新鮮な替刃で髭を逸れるという体験提供
・ジェルやワックスなどトイレタリー周りの製品も販売してクロスセル
ちなみに日本ではDMMがカミソリのサブスクを提供している。
KINTO:車
- 月額約5万円~3年単位での車のサブスクサービス
- 税金や保険料、メンテナンス代も込み
- 数日間のレンタカーと、5~9年間のリースの間をとったサービス
- ひとり暮らし→子持ちなどライフサイクルに合わせて車を変更しやすい
CLAS:家具・家電
- 家具家電のサブスクモデル
- 月額500円~から各種商品をレンタル可能
- 初代バチェラーで有名な久保さんが経営
- 数年で引っ越しが確定しているような学生やビジネスマンにおすすめ
- 家具への初期投資と複雑なオペレーション処理が重要
コーヒーマフィア:コーヒー
- 月額3,000円で1来店1杯無料でコーヒーを飲める
- トーストなど各種サブメニューのクロスセルで利益向上
- 会員の客単価は非会員よりも100円高い
ダイソンテクノロジー プラス:家電
『ファクトフルネス』の感想と活用方法をまとめてみる
ようやく『ファクトフルネス』を読み終えた。
また徒然と感想を書いて見ようと思う。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
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著者のプロフィール
■ハンス・ロスリングさん
スウェーデン・ウプサラ市出身の医師であり公衆衛生学者でもある。
正直この本を読むまで名前を聞いたことはなかったが、TEDにも出るくらいの有名人だった。
Religions and babies | Hans Rosling
実はこのファクトフルネスが完成する前の2017年にすい臓がんのため死去しており、ご家族の方が原稿を整理し書き上げたという。
概要
本書では全編を通して、著者が先進国と発展途上国の様々な統計をテストという形で様々な国の人に出題した経験に基づいて進められる。
現代のグローバルエリートでさえも偏見に囚われており、チンパンジー以下の正答率しか弾き出せない。
世界は未だに不幸で貧しい人は増えており、世界の分断は未だに大きく、良い方向には進んでいないのではないか。そんな誤った考えに人は陥りやすい。
なぜならファクトに基づいて考えていないからだ。
そんな中で「ファクトを押さえ、何が真実なのか、何が問題なのかを冷静に見極められるようになろう」というのが本書の趣旨となる。
覚えておきたいこと
1.分断本能:「世界は分断されている」という思い込み
→まずは大半の人がどこにいるか探す
2.ネガティブ本能:「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
→悪いニュースの方が広まりやすいことを忘れない
3.直線本能:「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
→直線もいつかは曲がることを覚えておく
4.恐怖本能:危険でないことを恐ろしいと考えてしまう思い込み
→何事もリスク計算をして考える
5.過大視本能:「目の前の数字が一番重要だ」という思い込み
→数字を比較した上で判断する
6.パターン化本能:「ひとつの例が全てに当てはまる」という思い込み
→分類を疑い、例外を探してみる
7.宿命本能:「全てはあらかじめ決まっている」という思い込み
→ゆっくりでも変化が起きていないか確かめる
8.単純化本能:「世界は一つの切り口で理解できる」という思い込み
→ひとつの知識が全てに応用できないことを覚えておく
9.犯人探し本能:「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
→誰かを責めるより、システムの改善を考える
10.焦り本能:「今すぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
→焦らず一つ一つ物事を進める
感想
本書を読みながら仕事で思い込んでいることを思い出していた。
よく使うフレームワークや会社の将来性、施策失敗の原因。
何の気なしに普段行っていることが多いが、改めて本当にそれが正しいのかどうか再考させられた。
特に「過大視本能」「パターン化本能」「犯人探し本能」「焦り本能」あたりは意識して働いてみても良いかもしれない。
経験と感に頼りがちな職場の年長者こそ読んでみていいのではないか。
そう思う今日このごろである。
『アフターデジタル』の感想と活用方法をまとめてみる
著者のプロフィール
■藤井保文さん
株式会社ビービットにてコンサルタントとしてサイト・UX改善を実施。現在は上海支社に勤務し、現在は現地の日系クライアントに対し、モノ指向企業からエクスペリエンス指向企業への変革を支援を行う。
■尾原和啓さん
マッキンゼー、Google、楽天、リクルートなどを渡り歩く異色の経歴をもつ、気鋭のIT批評家。『モチベーション革命』などの著書で有名。
モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書 (NewsPicks Book)
- 作者: 尾原和啓
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/09/27
- メディア: Kindle版
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アフターデジタルとは
タイトルでもあるアフターデジタルとは、リアルがデジタルに包括された世界観のことである。日本をはじめとした現在のビフォアデジタル世界と比較すると、以下のイメージになる。
【ビフォアデジタル】リアルでいつも会えるお客様が、たまにデジタルにも来てくれる。
【アフターデジタル】デジタルで絶えず接点があり、たまにデジタルを活用したリアルにも来てくれる。
藤井さんが働く中国では、こうしたオンラインとオフラインの主従関係逆転を活かして平安保険やフーマーといった企業が新たな顧客体験を発明している。
彼らは「インターネットをビジネスにどう活かすか」ではなく「オフラインがない世界でどうビジネスを展開するか」という視点で働いており、この考え方はOMO(Online-Merge-Offline)と呼ばれる。
このOMOこそがアフターデジタル化が進んだときに、日本でもビジネスを行ううえで重要な考え方になるのではないか、というのが本書の大筋である。
アフターデジタルの条件
ではなぜ中国ではOMOという概念が広がっているのだろう。
OMOの提唱者である元GoogleチャイナCEOであり、現在はシノベーションベンチャーズを率いる李開複はOMOの発生条件として以下の4つを上げている。
・スマートフォンおよびモバイルネットワークの普及
・モバイル決済浸透率の上昇
・幅広い種類のセンサーが高品質安価で入手可能になり、偏在する
・自動化されたロボットやAIの普及
この4つの条件が満たされると、あらゆる顧客データが取得可能になる。
オンラインとオフラインの境界がなくなり融合していく。
日本でOMOが発生する上では「モバイル決済浸透率の上昇」が鍵になりそうだ。
国内各プレイヤーによって公表されているモバイル決済関連の利用者データを見ると、日本でOMOが発生するにはまだまだ時間がかかるのかもしれない。
モバイルSuica:登録者数500万人(2018年時点)
PayPay:登録者数700万人(2019年5月時点)
LINE Pay:グローバルMAU430万人(2019年12月第1四半期)
アフターデジタル世界でのビジネス
アフターデジタル世界では企業を起点としたバリューチェーンから、顧客を起点としたバリュージャーニーへとビジネスモデルを変革する必要がある。
なぜなら製品単体でしかユーザーに価値提供できなかった時代から、体験全体での価値提供を行うことができるようになるからだ。
Yahoo JAPANを例に上げるならば単なる検索サービス、QR決済サービスの提供者ではいけない。
行動と購買データを紐づけながら常に最適な情報や購買体験を、
提供し続けることがバリュージャーニーと言える。
そのアフターデジタル世界のビジネス原理は2つ。
- 高頻度接点による行動データ×エクスペリエンスのループ
- 最適なタイミングで、最適なコンテンツを、最適なタイミングで提供する
高頻度接点とはカスタマーサクセス理論における、
「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」である。
1on1の個別対応とワークショップやイベントなどの複数対応、
人的コストのかからない不特定多数との対応という異なる接点で、
顧客に上質な体験を提供してデータを取る。
それをもとに更にサービスを改善していく。
個人的にはGoogleの営業の活動は見ると、
このカスタマーサクセスをしっかり抑えているように思う。
またデジタル化が進むとAIやデータプラットフォームが進化することで、
単なるターゲティングに留まらない、
モーメントや趣味嗜好も捉えることができるようになる。
when、what、howという視点でより最適な体験を個人に提供できるようになる。
実際に中国ではグループ全体で情報共有を行うための、
自社プラットフォームが開発されているそうだ。
グループ会社がサービスレベルでのUXの品質を管理して、
ホールディングスがバリュージャーニー全体におけるCXの品質全体を管理する。
バリュージャーニーを作るには
バリュージャーニーモデルの企業を作るためには、
UXグロースハックとUXイノベーションが重要である。
UXグロースハック
UXグロースハックとは高頻度接点のデータ取得を活かした高速プロダクト改善である。オンライン、オフライン問わず既存の接点からデータ収集を行い、分析して企画を練り、施策に落とし込む。
この中には得られたデータをAIで自動最適化して個別のユーザー特性に合わせる「UX最適化」と、データをもとに新たな機能や体験を提供する「UX企画」が存在する。
UXグロースハックが担当するのは後者の「UX企画」になる。前者は既存ビジネス内での最適化であり、それだけで事業は拡大しないからだ。
UXイノベーション
UXグロースはデジタルを活かした新たな顧客接点の創出である。
Amazon GOやGoogle Home、フーマーなどをイメージするとわかりやすい。
とはいえ接点を作っても使われなければ意味がない。
「顧客の置かれた状況を把握して、そこによりハッピーな体験を以下に作るか」
という視点が必要であり、マーケターのスキルが問われる領域になる。
感想
中国での事例を参考にしており、近年トレンドのデータドリブンやCX、UX、IoTの背景や概念が非常にわかりやすく整理されていた。
少なくともデジタルサービスに関わる仕事をしている人は必読だと思う。
とはいえGAFAに比べると自社がUXイノベーション領域で圧倒的に出遅れていて悲しい。会社の未来は本当にモバイル決済の普及に関わっていると思うし、近年の投資理由も理解できた。
あと残る道としてはデータを活用した、クライアントのバリュージャーニーモデル支援もあるかもしれない。
日系企業がCX、UXの土壌が無い中で色々と試行錯誤し始めているようなので、
この辺を自社データをもってコンサルティングできる様になると、
光明が見えてくるのかもしれない。
(自社にそんな人材がいるのか甚だ疑問だが)
2,200円とは思えない示唆に富んだ一冊なので、
本当におすすめである。