『劣化するオッサン社会の処方箋』山口周:職場に不満が溜まった時はオピニオンかエグジット
本日の書評は『劣化するオッサン社会の処方箋』です。
会社で上司と意見が合わないけど、なかなか言い出しづらいとか。
でも会社を辞めるほどでもないんだけど、何だかモヤモヤする。
そんな若手サラリーマンが読むと自分のモヤモヤがスッキリとして、
今後のどう働いていくべきか鮮明になります。
劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか (光文社新書)
- 作者: 山口周
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2018/09/13
- メディア: 新書
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組織も経験も劣化する
本書ではまずオッサンがなぜ劣化するか解説されています。
その理由は2つ、
・経験の劣化
・組織の劣化
オッサンにも輝いた時代はもちろんあります。10年前や20年前にキレキレで優秀な人材だったかもしれません。ただ悲しいかな世の中の進化のスピードは加速度的に上昇しています。
だからかつて経験したことのない問題が現れた時、オッサンにはその答えが出せないのです。インスタもツイッターもラインもなかった時代に昔ながらの予約型広告枠を売っていた人が、現代でも同じように広告の売り方を知っているというのだろうか。
こうして経験は劣化するのであるが、また組織も同様に劣化する。
天才にしか天才は見抜けないからだ。
もちろんトップは次のトップに優秀な人材を選ぼうとする。ただしイレギュラーはどうあがいても発生する。優秀な人材の取り巻きが、トップに据えられているように感じたことがある人は多いだろう。天才の出現率が低いのだから、組織が大きくなる上でイレギュラーはどうしても発生する。
そして天才が2流を選んでしまうと企業はもうもとには戻らない。
スティーブ・ジョブズや盛田昭夫など、過去の天才を思いだすと、この現実は想像に難くないはずだ。
そして劣化したオッサンは現代に合わなくなったはずの価値観と基準でトップに立ち、権限を持っている。次第に現場との感覚が合わなくなり不和が生じるのだ。
オピニオン・エグジット・モビリティ
そんな劣化するオッサンたちに立ち向かう術として、
筆者は「オピニオン」「エグジット」「モビリティ」を提唱している。
「オピニオン」とはすなわち意見表明である。上司の意思を自分自身の判断基準と照らし合わせて、正しくなければ自らのスタンスを明らかにする。
そしてその状況が改善されなければ「エグジット」、つまりその場所から撤退すればいいのである。転職して新たな道を探そう。
金曜の夜に居酒屋に集まっては仕事の愚痴に興じるだけで、「オピニオン」も「エグジット」もしない人は、結果として会社や上司を肯定していることになる。
この悲しい状態を避けるためには「モビリティ」を高める必要がある。いつでも仕事を変えながら誰とでも働けるという自信が「オピニオン」と「エグジット」にする。
そして「モビリティ」を高める鍵は、
・良質な仕事体験
・会社以外のネットワーク
となる。
では良質な仕事体験はどうすれば培われるのだろうか。
良質な仕事体験
人材育成に関する著名な研究結果として、「70:20:10の公式」が存在する。
要約すると人材育成の7割は実務を伴う仕事体験、2割はロールモデルとなる人物からの影響、残り1割が書籍などから得る知識から構成されるというものだ。
つまりどれだけ家で勉強しても、職場でいい仕事をして適切なフィードバックをされなければ、またロールモデルや尊敬する優秀な上司に出会わなければ、能力は開発されないのだ。なんと恐ろしいことか。
結論
この本を読んで改めて転職をしようと思った。
目指すべき人もなく、仕事でも目新しい体験が減ってきており、
このままだと自分のモビリティが停滞する予感がある。
IPSで有名な山中教授も最初の2~3年で職場を変えたことを思うと、幾分恐怖もなくなる。転職活動がんばります。